MegaRAID 9260-8i RAID10設定

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 LSI MegaRAID SAS/SATA 9260-8i(8ポート/BBU/CacheCade付)を入手、検証ラボ環境に導入して RAID10アレイを構築しました。
実際に使ってみると、「手持ちのHDDをしっかり活用できる」こと、さらに CacheCade Pro 2.0を併用することでSSD並みのレスポンスを体感できたことが特に印象的でした。

RAID10は「RAID1(ミラー)+RAID0(ストライプ)」を組み合わせた構成で、高性能と高信頼性を両立できるRAIDレベルです。
特に仮想化基盤やデータベースのように ランダムI/Oが多い環境では、RAID5やRAID6に比べて安定した性能を発揮できると思います。

CacheCadeとは

CacheCadeはMegaRAIDコントローラの拡張機能で、SSDをHDDアレイのキャッシュとして利用できる仕組みです。
通常のHDDベースRAIDはランダムアクセスが苦手ですが、CacheCadeを使うことでSSDにキャッシュされ、
ランダムリードや小粒I/Oの性能を大幅に改善できます。

今回使用した LSI MegaRAID 9260-8i ではCacheCadeは標準機能ではなく、CacheCade用のドングルを拡張カードで追加することで利用可能となる機能です。
今回は9260-8i を入手時点でドングルが搭載されている状態でしたが、Cachecadeのドングル自体は、中古で2,000〜3,000円程度で購入できるようです。なお、このドングルは、NECのOEMカード(N8103-130)では動作しませんでした。

  • CacheCade Pro 2.0以降ではリード/ライト両方に対応
  • エンタープライズ向けSSD(PLP搭載)での利用が推奨です。
  • 検証ラボ用途なら一般的なコンシューマSSDでも検証可能

今回は Crucial BX500(コンシューマ向けSSD)を2台RAID0で構成し、CacheCadeとして利用しました。

MegaRAID構成

 余剰のWD Red 1TBをベースに RAID10を構築、Crucial BX500 SSD 2台 RAID0でCacheCadeとして構成することで「HDDの信頼性+SSDキャッシュによるレスポンス改善」が可能か確認しました。

HDD(RAID10アレイ)
  • Western Digital Red 1TB
  • 型番:WD10EFRX
  • 台数:6本
  • 構成:RAID10
  • 備考:NASから取り外した老兵SATAディスク
SSD(CacheCade用)
  • Crucial BX500 SSD 256GB
  • 型番:CT240BX500SSD1
  • 台数:2本
  • 構成:RAID0
  • 備考:CacheCade(検証のため一般向けSSDを利用、PLPなし)

 RAID構成についてはRAID5やRAID6も比較検討しましたが、これらは、RAID10よりも容量効率は高い一方で、リビルド時の全ディスク負荷やランダムライト性能の低下が懸念点でした。ディスク事体も新品ではない老兵(NASのおさがり)であるため、安定した性能と復旧の速さを優先できるRAID10が最適と判断しました。

RAID10の特徴

  • 性能
    読み込みは複数ディスクから並列アクセス、書き込みもミラーに直書きするため、RAID5/6のようなパリティ計算による遅延がありません。
  • 耐障害性
    各ミラーペアの片方が故障しても稼働を継続可能。組み合わせ次第では2本以上の同時障害にも耐えられます。
  • リビルド
    壊れたディスクのペアだけをコピーすれば良いため、復旧時間が短く、稼働中の負荷も少ないです。
  • 容量効率
    使用効率は50%。6本のHDDを組んだ場合、実効容量は3本分になります。容量効率は犠牲になりますが、安定した性能と安全性を優先できるのが魅力です。

MegaRAID ボリューム設定

検証ラボ環境でRAID10アレイを構築した際の設定パラメータです。

仮想ボリューム パラメータ
項目推奨値解説参考文献
RAID LevelRAID 10ミラー+ストライプで性能と信頼性を両立Broadcom MegaRAID User Guide
Strip Size256KBランダム/シーケンシャルのバランスが良いVMware/Hyper-V Storage Best Practices
Access PolicyRW(Read Write)標準はRW。通常は変更不要Broadcom Default
Read PolicyAheadシーケンシャル時は先読み、ランダム時は抑制。自動調整が効くBroadcom MegaRAID Docs
Write PolicyWrite Back with BBUBBUありの場合に推奨。ライト性能が大幅改善Broadcom User Guide
IO PolicyDirectハイパーバイザーがキャッシュ制御するためDirectが安定VMware KB, MS Hyper-V Guide
Drive CacheDisableHDDキャッシュは停電時リスク。コントローラ+BBUを利用Dell/HPE/IBM RAID Guide
Disable BGINo(=BGI有効)整合性確保のため有効化が基本。短期検証なら無効化も可Broadcom Init Docs

パラメータ詳細

RAID Level
Broadcom MegaRAIDのドキュメントで「RAID10は性能と信頼性を両立できる構成」と明記されています。
→ 容量効率は50%になりますが、仮想化やDBのようにランダムI/Oが多い環境では、安定した性能を発揮できると考えられます。

Strip Size = 256KB
VMware vSphere Storage Best Practices に「RAIDストライプサイズは1MBブロックサイズに合わせると効率的」と記載。6本のRAID10構成では「256KB × 3ペア = 768KB」となりVMFSやVHDXの1MBブロックサイズと完全一致させることはできませんが、小さい値はランダムI/Oに強く、大きい値はシーケンシャルI/Oに有利という原則に従い、今回はバランスの良い256KBに設定しました。

Access Policy = RW
Broadcomの標準設定。通常は「Read Write」でOK。

Read Policy = Ahead
Broadcom MegaRAIDドキュメントで「シーケンシャル時はRead Aheadを有効、ランダム時は抑制」と記載。
→ Adaptive Read Ahead(Normal)がデフォルトかつ最適な選択と考えられます。

Write Policy = Write Back with BBU
Broadcom MegaRAID Controller User Guide に「BBUがある場合はWrite Backを推奨」と記載。
→ Write Throughは安全ですが性能が極端に落ちるため、Write Backが前提。

IO Policy = Direct
VMware KB や Microsoft Hyper-V Best Practices で「仮想化環境ではDirect I/Oが安定」と記載。
→ ハイパーバイザー側がキャッシュ制御を行うため、Direct I/Oが推奨されます。

Drive Cache = Disable
Dell / HPE / IBM RAID設定ガイドで「HDDのキャッシュは停電時にリスク」との記載あり。
→ 通常はドライブキャッシュは無効化、コントローラキャッシュ+BBUを利用するのが安全と考えられます。

Disable BGI = No(BGI有効)
Broadcomドキュメントに「BGIは整合性維持のため通常有効」との記載あり。
→ 短期検証では無効化で時間短縮も可能ですが、長期稼働では有効が良いと考えます。

CacheCadeの効果測定(ベンチマーク)

CacheCade(Megaraid SSDキャッシュ機能)を併用することで、HDDベースのRAIDアレイをSSDクラスの体感性能で利用することが可能となります。
仮想マシンのブートや小粒I/Oで特に効果が大きく、検証ラボ環境でもレスポンスの向上を体感できます。

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CrystalDiskMark 8.0.6 x64 (C) 2007-2024 hiyohiyo
                                  Crystal Dew World: https://crystalmark.info/
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* MB/s = 1,000,000 bytes/s [SATA/600 = 600,000,000 bytes/s]
* KB = 1000 bytes, KiB = 1024 bytes

[Read]
  SEQ    1MiB (Q=  8, T= 1):  1131.014 MB/s [   1078.6 IOPS] <  7407.90 us>
  SEQ    1MiB (Q=  1, T= 1):   625.198 MB/s [    596.2 IOPS] <  1676.12 us>
  RND    4KiB (Q= 32, T= 1):   233.358 MB/s [  56972.2 IOPS] <   561.19 us>
  RND    4KiB (Q=  1, T= 1):    25.301 MB/s [   6177.0 IOPS] <   161.51 us>

[Write]
  SEQ    1MiB (Q=  8, T= 1):  1047.979 MB/s [    999.4 IOPS] <  7965.76 us>
  SEQ    1MiB (Q=  1, T= 1):   693.480 MB/s [    661.4 IOPS] <  1035.47 us>
  RND    4KiB (Q= 32, T= 1):    71.095 MB/s [  17357.2 IOPS] <  1840.43 us>
  RND    4KiB (Q=  1, T= 1):    43.388 MB/s [  10592.8 IOPS] <    93.64 us>

Profile: Default
   Test: 1 GiB (x5) [C: 1% (27/2792GiB)]
   Mode: [Admin]
   Time: Measure 5 sec / Interval 5 sec 
   Date: 2025/09/28 20:33:02
     OS: Windows Server 2019 Standard Evaluation 1809 [10.0 Build 17763] (x64)
注意点
  • RAID0 SSDをCacheCadeに割り当てると性能最優先になりますが、1本障害でキャッシュ全損となります。
  • 長期稼働を重視するならSSD RAID1を推奨
  • 高耐久SSD(Power-Loss Protection搭載)が望ましいです。

まとめ

  • RAID10は「容量効率50%」という欠点はあるものの、性能・信頼性・リビルドの速さで非常に優秀
  • 仮想化ラボ環境では、 Write Back+Direct I/O+Drive Cache無効がスタンダード設定と考えられます。
  • CacheCadeを組み合わせれば、手持ちのHDD環境でも仮想化ラボに十分なI/O性能を発揮できます。

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